私はStage2のときに傷病手当金を利用しました(`・ω・´)
ということで、今回は傷病手当金についての記事になります。
私は仕事柄、傷病手当金を人に説明する機会が度々あったため、「傷病手当金って何?」「自分は該当するの?」という疑問に応えられるような内容になっている、はずです。
と思ったのですが、結構細かく書きすぎて分かりにくいかもです(・・;)
傷病手当金とは?
業務外の病気や怪我で労務不能な状態になった場合に、事業主から給与の支払いが発生しない(あるいは不十分である)場合に所得を保障するという健康保険法に基づく仕組みです。
要するに、病気やケガで働けない場合に、お金を給付することで生活を守るよ〜っていう制度です(^^)
いくつかポイントがあるので見ていきます。
傷病手当金に関する大前提
健康保険法に基づく仕組みであること
健康保険法に基づいているため、「○○健康保険組合は給付してくれるけど、△△健康保険組合は給付してくれない」ということは生じません。どんな健康保険であっても条件さえ満たしていれば給付されます。
これは性別適合手術に対する傷病手当金を申請する上で理解しておく必要があると個人的には思います。つまり、性別適合手術の傷病手当金についてあまり知られていないところがあるのですが、どんな健康保険に入っていても性別適合手術に対する傷病手当金は受給可能です。
まず、先ほど述べたように傷病手当金は法律に基づいています。
もし支給されなかった場合には、まずは保険者(各健康保険組合)にその理由を尋ねるのですが、その説明に納得できない場合には審査請求へと進みます。審査請求先は地方厚生局社会保険審査官→社会保険審査会(厚生労働省)という流れになります。つまり、最終的な判断の責任は国(厚生労働省)になり、国が支給できると認めている場合であれば、どんな健康保険組合に加入していても支給されます。
これまで、日本では性別適合手術に対する傷病手当金が支給されたことがあるという前例(証拠)があるため、普通に申請したら支給されます(*^^)vこちらの前例についてはまた後日説明します(多分)。
社会保険の被保険者であること
すなわち、自分自身が会社に勤めており、被保険者であることが必要です。
個人事業主や自営業者であったり、雇用されているものの所定労働時間が規定を下回るなどで社会保険が適用されない場合は国民健康保険または社会保険の被扶養者になるため不可になります。社会保険の被保険者ではない場合に利用できる仕組みとして医療費控除がありますが、こちらは全く別の制度になるため、別の記事で解説できればと思います(^.^)
なお、社会保険が適用される条件で働いているにもかかわらず、会社が手続きをしていないケースもあるため、要注意です(+_+)
・1週間の所定労働時間が20時間以上ある
・賃金が月額88,000円以上ある
・学生ではない
・2ヶ月を超える雇用の見込みがある
・事業所内の被保険者が常時101人以上いる(2024年10月からは51人以上へ変更)
などの場合はパートやアルバイトでも社会保険に加入することになっています。もし入れていない場合は会社に伝えて加入できるようにしましょう(`・ω・´)
傷病手当金の支給条件
具体的に傷病手当金を受け取りたいという場合には条件を満たす必要があります。
業務上の病気や怪我ではないこと
性別適合手術などは業務上の病気や怪我ではないため一切問題ないかと思います。
この条件について、業務上の病気や怪我の場合は労災の対象になるため、適用される法律自体が異なります。
労務不能であること
業務外の病気や怪我で働けない状態であることが必要になります。
働けないという判断は本人の業務内容や心身の状態を総合的に見て医師が判断します。
連続する3日間を含み4日以上仕事に就けないこと
連続する3日間休んだ後に、4日目から支給対象になります。
連続する休みについては、土日・祝日などの公休日も含みます。すなわち、「本来の出勤するべき日でないと休み扱いにならない」ということはありません。
例えば、もともと土日休みの仕事である場合、土日も連続する休みとしてカウントされます。
またここでの休みは給与発生の有無は問われません。有給だったり、会社規定で給与が発生するタイプの病気休暇であっても問題ありません。
待機3日間のイメージは以下の図の通りです。
(協会けんぽのHPからの引用です)
Q&A
給与がある場合は?
有給などの100%給与が出続けている限りは傷病手当金は支払われません。しかし、給与が出なくなったタイミングから傷病手当金が支払われます。
また、もし給与が出ていても傷病手当金が保障している金額に満たない場合はその差額が補填されます。
どのくらいもらえるの?
ざっくりいうと収入の2/3が保障されます。一日あたり○○円というかたちで支給額が計算され、休んだ日数分を受け取るイメージです。
ざっくりとした例ですが、月給20万円で1カ月休んだ場合には13万円程度が保障される感じです。
ちなみに、厳密にいうと、収入そのものではなく標準報酬月額がベースになっています。
標準報酬月額は給料を1~50の等級(健康保険の場合)に分けて表され、健康保険や厚生年金、介護保険の保険料などを決める基準となっています。また、都道府県によって金額は異なります。
また、支給開始日までに1年間健康保険に加入しているかどうかによって微妙に違いもあります。
どのくらいもらえるのか知りたい人は、給料明細の健康保険の保険料から標準報酬月額を調べて計算してみてください_(:3 」∠)_
いつまでもらえるの?
傷病手当金が支給される期間は、支給を開始した日から通算して1年6ヵ月となります。
付加給付って何?
健康保険組合によっては組合独自の法定外給付として付加給付を設けている場合があります。法定外給付というのは法律に基づくものではありませんので、「○○健康保険組合は給付してくれるけど、△△健康保険組合は給付してくれない」ということが生じます。
例えば支給される金額が収入(標準報酬月額)の2/3ではなく、80%になる場合だったり、支給される期間が1年6カ月ではなく2年になるといった場合があります。
付加給付の有無については加入している健康保険組合に確認してください(^^)
どんな手続きが必要?
おそらく健康保険組合によって書類は異なるかもしれませんが、申請書を作成して提出することが必要になります。
申請書は➀被保険者(本人)、➁事業主(会社)、➂療養担当者(医師)がそれぞれ記載する必要があります。➂には労務不能な要因となった傷病名を記載する欄があります。
健康保険組合によってフォーマットは異なりますが、ここでは例として協会けんぽの申請書を示します。
①被保険者(本人) 協会けんぽの場合は2枚セットです。
②事業主(会社)
③療養担当者(医師)
申請書が完成したら健康保険組合に提出します。健康保険組合に直接郵送するなどして提出するパターンもあれば、会社経由で健康保険組合に提出するパターンもあります。
詳細は各健康保険組合や会社に問い合わせたり、HPをみて調べてみてください。
申請書の期間や日付はどう書けば良い?
申請書の被保険者分には「申請期間」、「発病・負傷年月日」、療養担当者分にも「労務不能と認めた期間」「初診日」「発病または負傷の年月日」など、日付を書く場所がたくさんあります。これらの日付はすべて一致していることが必要になります。
会社によっては給料の締め日と合わせて25日締や月末締めで書くように言われたりするのかなと思いますので、申請書の日付をどう書くかについては、会社にそれぞれ確認するようにしてください。そのうえで、会社の指示に合わせて、医師に「●月●日~△月△日で書いてください」とか「●月●日~△月△日の分と□月□日~★月★日の分で2枚書いてください」といったかたちで依頼してください( ˘ω˘ )
また、傷病手当金の注意点としては、「未来のことは書けない!」ということを覚えておくと良いです。「今後も1ヶ月は働けないと思うから、未来の分まで書いとくね」ということは絶対にできません。診察日までの分しか医師は診断書は書けませんので、療養担当者が労務不能と認めた期間の最後の日にちと、申請書作成日(協会けんぽの場合は「上記のとおり相違ないことを証明します」と記載されている箇所)は、一致もしくはそれ申請書作成日のほうが遅い日付になります。
一般的に病休をこれから取るときの診断書では「1か月ぐらい休む必要があります」と書いて休みをもらうかたちになると思いますが、傷病手当金は実際に働けなかったし、給料も出てなかったことが判明してから申請するという性質のものです。ややこしいのですが、別物だと思っておきましょう。
会社に知られずに申請できる?
おそらくですが、会社に病名を伝えずに申請することは難しいと思います(+_+)
というのも、申請書には傷病名を記載する欄があります。
こちらは先ほどの協会けんぽの療養担当者(医師)が記入する申請書になりますが、図のように傷病名記載欄があります。
会社は被保険者(本人)記載、療養担当者(医師)記載の申請書と照らし合わせて事業主記載の申請書を作成することがほとんどかな~と思います。また、申請書は保険者(健康保険組合)に直接送るのではなく、会社を経由する場合もあります。
当然ですが、性別適合手術を受けているにもかかわらず、全く違う手術名を書くことはできません。そういった嘘を診断書に書いてしまうと、医師は医師法違反となりますし、公文書・私文書偽造罪などの罪に問われます:;(∩´﹏`∩);:
そのため、会社に性別適合手術のことを一切言わずに申請することは難しいかもですが、詳細は各健康保険組合や各会社に直接問い合わせるてみるのが良いと思います。
退職する場合は?
もしかしたら人によってはオペと同時に今の職場を離れることもあるのかなと思います。ちなみに私もオペと同時に退職しています(^.^)
傷病手当金は在職中しかもらえないように思えますが、条件さえ満たせば、退職後も傷病手当金が支給されます(資格喪失後の継続給付)。
資格喪失後の継続給付の条件としては、以下の2点を満たしていればOKです。
➀資格喪失の日の前日(退職日)まで被保険者期間が1年以上継続していること
➁被保険者資格喪失日の前日に、現に傷病手当金を受けているor受けられる状態(業務以外の病気や怪我で、連続する3日間を含んで4日以上仕事に就けないこと)であること
つまり、退職までの直近1年間に健康保険に加入していて、退職日までに3日間以上の連続して休んでいれば大丈夫です。注意点としては、退職日に出勤したりしないこと、が挙げられますが、性別適合手術などの場合はそんな状態じゃないですよね…_(:3 」∠)_
退職すると健康保険の資格を喪失するため、国民健康保険に加入する、資格喪失前の社会保険を任意継続にする、誰かの社会保険の被扶養者になるのいずれかを選択することが多いと思います。しかし、退職後の健康保険について、いずれを選択しても傷資格喪失後の傷病手当金の継続給付には影響ありませんヽ(^o^)丿
ちなみに、在職中に傷病手当金を受ける場合との違いとしては、同一病名で「働けない→働ける状態になって復職→働けない」となった場合、2回目の働けない場合に対しても傷病手当金が支給されます。しかし、資格喪失後は一旦働ける状態になった場合には、それ以降は再度働けなくなったとしても傷病手当金を再支給することはできません。
以前性別適合手術を受けたけど申請してない…
傷病手当金の存在や性別適合手術で傷病手当金が受けられることを知らなかったという場合もあるかと思います(+_+)
しかし、傷病手当金は遡って申請することができます。ざっくりいうと、傷病手当金は労務不能になって請求権が発生した日から2年以内であれば遡って請求することができます!
また日ごとで請求権があるため、労務不能な期間のうち最初の一部の期間は2年経過しているけど、その後の期間はまだ2年経過していない場合には、2年経過していない期間については請求できます。
ここまで傷病手当金に関する一般的な説明になります。
なんやかんや分かりにくい部分もあると思うので、もし何かあればコメントいただければ答えられる範囲でお答えしますm(_ _)m
次の記事では、私の場合はどうだったのかという体験談の話になります(^o^)